生活習慣病と脂肪性肝障害のトータルマネジメント
生活習慣病は心臓・脳血管障害の高リスク
生活習慣病には高血圧症・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などが含まれます。これらの疾患は食事・運動・ストレスなど、生活習慣のコントロールが不十分であることにより発症し、動脈硬化を促進して心臓・脳血管障害のリスクファクターとなることが知られています。 最近ではこれらの疾患の原因の有力な原因が内臓脂肪細胞蓄積(内臓肥満)に起因するインスリン代謝異常であることが解明され、メタボリックシンドロームとして一括管理・指導・治療が行われるようになってきました。
脂肪肝とメタボリックシンドロームの関係
また近年では脂肪肝による肝機能障害もまたメタボリックシンドロームと同じく内臓脂肪細胞蓄積によるインスリン代謝異常が一因であることが解明され、高血圧・脂質異常症・糖尿病と同時に管理治療されるべき疾患であると理解されています。
脂肪肝は肝硬変・肝臓がんの高リスクである
かつて脂肪肝は食べすぎ、お酒の飲みすぎ、肥満が原因であり、生活習慣を改善するよう指導されるものの特に治療の対象とされてきませんでしたが、今日では肝炎ウィルス・アルコールなどによらない肝硬変の原因として大きな割合を占めることが解明され、放置すれば高率に肝硬変に進展し、肝臓がんを発症することも明らかになっています。従って脂肪肝は正しい知識に基づき管理・治療すべき疾患なのですが、未だその必要性が十分に理解されているとは言い難い状況にあります。
メタボリックシンドロームと脂肪肝は一括管理・指導・治療が必要
また、従来の生活習慣病は主に一般内科・循環器内科・代謝内科などが診療を担当しますが、肝機能障害が合併するとしばしば消化器肝臓内科専門医に診療を委託されることが多いため、同一の原因に基づく疾患でありながら2つ(以上)の診療科を受診しなければならず、不便を感じておられる方も多いことかと思います。